「の規定に基づく」と「の規定による」(中)

前回(2011年7月15日付け記事「『の規定に基づく』と『の規定による』(上)」)引用した記事では、「の規定に基づく」と「の規定による」には意味の違いはなく、その規定を根拠とするという意味合いを強調するときに「の規定に基づく」を使用すると記載されていた。
しかし、その違いも分からない例がある。
例えば、政令の題名で、次のようなものがある。

○市町村立学校職員給与負担法附則第3項の規定に基づき学校栄養職員の範囲を定める政令(昭和49年政令第219号)
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第31条第1項の規定により消費者庁長官に委任されない権限を定める政令(平成21年政令第219号)

この2つの政令は、一方は「規定に基づき」、他方は「規定により」を用いているが、両者に違いは全くないであろう。
また、次のような例がある。

平成22年度等における子ども手当の支給に関する法律(平成22年法律第19号)
子ども手当の支給に要する費用の負担)
第17条 子ども手当の支給に要する費用(第20条第1項又は第2項の規定に基づき児童手当法(昭和46年法律第73号)の規定により支給する児童手当又は同法附則第7条第1項の給付とみなされる部分の支給に要する費用を除く。次項において同じ。)については、国が負担する。
2・3 (略)
(参考)
(受給資格者における児童手当法の適用) 第20条 受給資格者のうち児童手当法第6条第1項に規定する受給資格者(同法第5条第1項 の規定により児童手当が支給されない者を含む。)に該当する者に支給する子ども手当については、当該子ども手当の額のうち同法の規定によりこれらの者に対して支給されるべき児童手当の額(同法第5条第1項の規定により児童手当が支給されない者については、同項の規定の適用がないとしたならば支給されるべき児童手当の額とする。)に相当する部分を、同法の規定により支給する児童手当とみなして、同法第18条(第4項を除く。)、第20条から第22条まで、第23条(第2項を除く。)、第24条から第25条まで及び第30条の規定を適用する。
2 受給資格者のうち児童手当法附則第7条第4項第1号に規定する小学校修了前特例給付受給資格者(同条第2項の規定により同条第1項の給付が支給されない者を含む。)に該当する者に支給する子ども手当については、当該子ども手当の額のうち同条第1項の規定によりこれらの者に対して支給されるべき給付の額(同条第2項の規定により同条第1項の給付が支給されない者については、同条第2項の規定の適用がないとしたならば支給されるべき同条第1項の給付の額とする。)に相当する部分を、同法の規定により支給する同条第1項の給付とみなして、同条第5項において準用する同法第18条第2項及び第3項並びに第30条並びに同法附則第7条第8項の規定を適用する。
3 (略)

平成22年度等における子ども手当の支給に関する法律第17条第1項の規定には、「の規定に基づき」と「の規定により」が併せて用いられているが、どちらか一つの用語を重ねて使うのが嫌だったからではないだろうか。これは、「場合」と「とき」を同時に用いる場合に、最初の大きな条件を表すのに「場合」を、次の小さな条件を表すのに「とき」を用いることと似ている感じがする。