対句の場合の読点の用法

読点を付ける場合でも、2以上の文章が対句になっているときには、対句の接続に読点が付けられ、主語の後などに付けられるべき読点は通常は省略される(法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P655))。
例えば、主語の後の読点を省略する例ではないが、準用規定において、準用する規定中の語句の読替えを行う場合に、「この場合において、第○条中「A」とあるのは、「B」と読み替えるものとする」と表現するが、読み替える語句が2以上になると、「この場合において、第○条中「A」とあるのは「B」と、「C」とあるのは「D」と読み替えるものとする」というように、対句の中の読点は省略される。
ところで、主語の後の読点が省略されている例としては、次の介護保険法の規定がある。

(特例施設介護サービス費の支給)
第49条 (略)
2・3 (略)  
4 第24条第3項の規定は前項の規定による質問又は検査について、同条第4項の規定は前項の規定による権限について準用する。

この規定は、「第24条第3項の規定は前項の規定による質問又は検査について」と「同条第4項の規定は前項の規定による権限について」が対句になっており、ともに「の規定は」の後に本来付すべき読点は、省略されている。
しかし、同じ介護保険法でも、次のように対句でありながら、主語の後の読点が省略されていない規定もある。

第48条 (略)
2〜6 (略)  
7 第41条第2項、第3項、第10項及び第11項の規定は、施設介護サービス費の支給について、同条第八項の規定は、介護保険施設について準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
8 (略)

これは、「第41条第2項、第3項、第10項及び第11項」の部分は、読点を用いざるを得ないので、「の規定は」の後も読点を付したほうが読みやすいということを考慮してのことなのであろうか。
しかし、介護保険法に次のような規定もある。

第51条の3 (略)
2〜7 (略)  
8 第41条第3項、第10項及び第11項の規定は特定入所者介護サービス費の支給について、同条第8項の規定は特定介護保険施設等について準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
9 (略)

第48条第7項と第51条の3第8項の違いは、私には分からない。