一部改正(一般)

続・新旧対照表方式(8)〜再び改め文

これまで記載したことを踏まえて、改め文をどのようにするかについて記載して、このシリーズはとりあえず終わることとしたい。 まず、改め文を置く位置についてだが、「続・新旧対照表方式(6)〜別表の改正と改め文の位置」で記載したように新旧対照表の前…

続・新旧対照表方式(7)〜附則

新旧対照表方式における附則とそれに関連することについて、鳥取県の方式を基に考えてみたい。 島田・論文では、鳥取県における一部改正の附則の文例については、従来の方式と原則として変更はないとしている。 しかし、次のように注意が必要な点があるとし…

続・新旧対照表方式(6)〜別表の改正と改め文の位置

1 別表の改正 条例で規定している大部な別表というと、まず給与表が思い浮かぶが、新旧対照表方式においてこれを全部改正する程の改正がある場合にどのような方法によっているかについては、県レベルでは、次のように3つ程度に分類することができる*1。 (1…

続・新旧対照表方式(5)〜新旧対照表

新旧対照表は、どこの自治体においても参考資料としては作成しているかと思われるので、実際に新旧対照表方式を導入する場合には、その自治体において作成されているものをベースに考えるのであろう。 まず、改正後の欄と改正前の欄のどちらを左欄にするかに…

続・新旧対照表方式(4)〜改め文

新旧対照表方式を導入している自治体の方式を見ると、従来方式において書かれる「『…』を『…』に改める」といった改め文をどうするかという点が大きく異なっているようである。 なお、改め文を置かないこととしている自治体もあるようであるが、そうすると、…

続・新旧対照表方式(3)〜メリット・デメリット(その3)

新旧対照表方式のメリットしては、一般的に分かりやすさと職員の負担軽減という2点が挙げられると思う。 1 分かりやすさ 鳥取県で新旧対照表方式を導入したのは、「続・新旧対照表方式(1)〜メリット・デメリット(その1)」で記載したように「分かりや…

続・新旧対照表方式(2)〜メリット・デメリット(その2)

新旧対照表方式のメリットを取り上げる前に、そのデメリットについて取り上げてみたい。 1 分量が多くなることについて 新旧対照表方式に関する国会における答弁については「新旧対照表方式(下)」で記載しているが、そこでは分量が多くなることが一番問題…

続・新旧対照表方式(1)〜メリット・デメリット(その1)

1月25日付けの記事で記載したように、今回から8回にわたって、再び新旧対照表方式について記載していきたい。 このシリーズでは、島田真紀子氏*1が記載した「条例等の改正における新旧対照方式(鳥取県方式)の導入について」『法令解説資料総覧236号』を…

新旧対照表方式(下)

新旧対照表方式について、国は公式の見解としては、次のとおり分量が多くなることを問題としている。 内閣法制局におきましては、法令の正確性はもとより、これが国民にとってわかりやすいものとなるよう平素から意を用いているところでございます。また、法…

新旧対照表方式(上)

一部改正例規における新旧対照表方式をどの程度の自治体が採用しているのかについては、kei-zuさんの2007年8月8日付けの記事(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20070808)によると、13の自治体(5県6市1町1区)ということである。 私は、この新旧対照表…

期限の延長

今月18日に召集される通常国会の焦点は、3月末に期限切れとなる歳入関連法案の扱いだとされている。その中でも、ガソリン税の暫定税率維持を含む租税特別措置法の改正法案が注目を集めるのであろう。 このガソリン税の暫定税率は、租特法第89条第2項が根拠…

一部改正における法制執務のルールに関する雑感

法令の一部改正は、数多いルールにしたがって行っていく。そして、そのルールはありとあらゆる場面で決められているように思いがちであるが、決してそのようなことはない。そのルールをすべて決めることはとても合理的だとは思えないし、そもそも不可能であ…

一部改正の例規を改正する例規の立案(5)

改正規定のとらえ方については、前回までに、河野久『立法技術入門講座3法令の改め方』の分類に基づき記載してきたが、それをまとめると原則として次のように考えていけばいいのではないかと思っている。 ○ 改正規定における段落を1つの改正規定と考える。…

一部改正の例規を改正する例規の立案(4)

6 改正規定の複雑なパターンとそのとらえ方 (1) 字句の改正+条の追加 第○条第1項中「……」を「……」に改め、「……」を削り、同条第2項中「……」の下に「……」を加え、同条の次に次の1条を加える。第△条 …… この場合について、河野久『立法技術入門講座3法令…

一部改正の例規を改正する例規の立案(3)

3 条・項等を追加する改正規定 河野久『立法技術入門講座3法令の改め方』によると、条を追加する改正規定については、「第○条の次に○条を加える改正規定」というように表現し、条より小さい単位である項・号等を追加する改正規定については、「第○条第○項…

一部改正の例規を改正する例規の立案(2)

通常の一部改正の例規については、条、項、号などを捉えて改め文を作成していくが、一部改正の例規を改正する例規については、改正規定を捉えて改め文を作成していくことになる。 一部改正の例規を改正する例規の立案のポイントは、この改正規定の捉え方では…

一部改正の例規を改正する例規の立案(1)

以前、洋々亭さんのサイト(http://www.hi-ho.ne.jp/tomita/yybbs/)で一部改正の例規を更に改正する例規の立案について取り上げられていたが、これは、解説している文献はあまりないため、とまどう面もあるのかと思う。 もちろん、法令でも実例はあるのだが…

項建ての附則を条建ての附則へ改正する例

前回(http://d.hatena.ne.jp/hoti-ak/20070720)引用したtihoujitiさんの記事で取り上げていた「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成13年政令第4号)」第6条では…

条名が本則と通し条名になっている附則をそうでない附則へ改正する例

tihoujitiさん(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20070718)が附則の全部改正について取り上げているが、全部改正の手法をとっているのは技術的な理由があるのではないかと思い、法律で附則の全部改正をしているものを衆議院のホームページ(制定法律)(ht…

一部改正法令の溶け込みが同時に行われることについて

一部改正法令が改正対象法令にどのように溶け込むかについて、大島稔彦『法令起案マニュアル』(P431〜)には、次のように記載されている。 一部改正法令の施行による改正対象法令の改正は、施行の時に、すべての改正が同時に行われると考えられている。一部…

条等の前に条等を加えることとする場合

「第○条の前に次の1条を加える。」というように、条等の前に条等を追加する場合がある。具体例を掲げる。 土地改良法等の一部を改正する法律(土地改良法の一部改正)第1条 土地改良法(昭和24年法律第195号)の一部を次のように改正する。(略)第90条第…

改める途中で全改される条を移動する場合の改め方

tihoujitiさんが、条を全改して移動する場合について取り上げていたのを拝見して(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20070316)、私も取り上げてみようと思ったのですが、その前に、項(号も同様)を加えた条を移動する場合のことから書いていくことにします…

複数の章にまたがって連続している条を移動させる場合の改め文の区切り方

今回は、複数の章にまたがって連続している条を移動させる場合に、章ごとに区切って行うべきかどうかについて記す。 例えば、第2章にある第6条及び第7条と第3章にある第8条から第10条までを1条ずつ繰り下げる場合に、法令では、 <ケース1>第3章中…

条を移動させる改正を行う場合の改め文の区切り方

条例等の一部改正をする場合には、原則として条ごとに区切って行うが、その例外の1つとして、単純に条の移動だけであれば連続して行うこととされている。しかし、個々のケースによっては、どこで区切るべきか迷うことがある。 例えば、第6条を削り、第7条…