条文

自治体における断続的労働に関する例規の規定(下)

前回(「自治体における断続的労働に関する例規の規定(上)」)の冒頭で触れた自治体の断続的労働に関する条例の規定は、次のようになっている。 職員の勤務時間、休暇等に関する条例(正規の勤務時間以外の時間における勤務)第9条 任命権者は、人事委員会…

自治体における断続的労働に関する例規の規定(上)

洋々亭さんのサイト経由で知ったのだが、厚生労働省出身の方が管理されている「EU労働法政策雑記帳」というブログで、ある自治体立の病院に対する断続的労働の運用等について批判的に取り上げられていた。 ここで取り上げたいのは、その自治体の断続的労働…

「2度書き」

法令の委任例規には、当該法令の規定も併せて規定することで一覧性を確保すべきであるという意見がある。例えば、兼子仁ほか『政策法務事典』(P157〜)には、次のように記載されている。 また、規制の基準の項目、数値を定めることについては、主要なものを省…

「Aその他のBであってC」の略称(下)

(「Aその他のBであってC」の略称の具体例の続き)

「Aその他のBであってC」の略称(中)

「Aその他のBであってC」という文言の略称の具体例を確認していく。どのような例が多いのかを確認する意味もあり、また略称を置く際の参考になると思われるので、定義規定も含めて確認できた事例のすべてを掲げておく。

「Aその他のBであってC」の略称(上)

平成20年12月19日に公布された「高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律(平成20年法律第93号)」の第3条第4項は、「感染症その他の疾患であって、その適切な医療の確保のために海外における症例の収集その他国際的な調査及び研究を特…

1時間未満の年休を取得させるための規定

1日の勤務時間を8時間から7時間45分に改めたときに、年休について1時間単位の取得を認めていると、通常は7時間45分をもって1日と換算することになることから、その残日数に1時間未満の端数が生じることがある。この場合に自治体においては、労働基準…

改正土壌汚染対策法に基づく事務の手数料

土壌汚染対策法の一部を改正する法律(平成21年法律第53号)により追加される事務の手数料の規定の仕方について、ネットで議論されていますので、取り上げてみることにします。 問題となるのは、改正法により追加される土染法第22条第2項の規定に基づく汚染…

「準用」とすべきか「適用」とすべきか

「準用」とは、ある事項に関する規定を、それに類似するが異なる事項について必要な変更を加えた上で当てはめることである(法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P193)参照)。これに対し、「適用」とは、本来その規定が対象する事柄に当てはめるも…

許可等の基準の書き換え(下)

前回(「許可等の基準の書き換え(上)」)取り上げた条例の書き方は、条例に規定する地下水保全協定で定められる地下水の水質を保全するために必要な事項としては、第13条第1項各号及び第2項各号で定める許可基準と別な事項を横だし的に定めることは想定…

許可等の基準の書き換え(上)

ある規定に定められた許可等の基準について、特定の場合に別の規定で書き換えることがある。例えば、次のような規定がある*1。 *1:山本博史『行政手法ガイドブック』で取り上げられているものである。

設置の根拠が法令にある機関を引用する際に、当該法令の規定を引用する必要があるのか

設置の根拠が法令にある自治体の機関を引用する場合に、当該法令の規定を引用しているものとそうでないものがある。例えば、次の規定のように、児童相談所については、法令の規定が引用されていないが、知的障害者更生相談所については、知的障害者福祉法の…

論理的な文章〜目的規定から

文章は、論理性がないと説得力が感じられない。例えば、最近、テレビなどで経済危機について取り上げられることが多いのだけれども、少し前になるが、1月28日のテレビ朝日系「サンデープロジェクト」に、自民党を離党した渡辺元行革大臣が出演し、その中で…

規則委任の規定はすべて悪なのか

最近*1、北村喜宣先生の自治力シリーズをまとめて読ませていただいた*2。言うまでもないことであるが、このシリーズは、読みやすく、非常に有益なものであると思う。そして、『自治力の冒険』(P70〜)の「直罰それともワン・クッション?―義務づけ規定2様」…

条文の箇条書き

もちろん、こうしたギルド的な言葉の世界*1に対して批判も多い。言葉の閉鎖性が市民から法律や条例を遠ざけているとの批判ももっともである。批判はそのとおりであるが、批判をするときは対案を示すというのが私の立場である。具体例で考えてみよう。「職員…

どのような場合に目的規定を置き、趣旨規定を置くべきか〜税条例の場合

塩野宏「制定法における目的規定に関する一考察」『法治主義の諸相』(P46)では、行政法規でも趣旨規定が置かれている例として、消費税法、印紙税法などの租税実体法を挙げ、これは目的を書きにくいこととも関連しているのかもしれないとしている。 しかし、…

どのような場合に目的規定を置き、趣旨規定を置くべきか

条例等には、目的規定か趣旨規定のどちらかを置くことが通例であるが、どのような場合に目的規定を置き、どのような場合に趣旨規定を置くかという基準は明確ではない。 むしろ、林修三『法令作成の常識』(P146〜)に次のように記載されていることからすると…

読替規定における略称等の使い方

読替規定における略称等の使い方について、法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P197〜)には、A法においてB法を準用し、必要な読替えをA法の中で書く場合に、A法において用いられている略称をそのまま用いることができるかどうかということと…

定義規定に規定する用語(4)

3回にわたって法律の定義規定を幾つか取り上げてきたが、今回対象にしたものに限ってみると、定義規定を置く際の考え方として、次のように言えるかと思う。 定義規定を設ける場合とは、その例規のキーワードとなる用語を定義する必要がある場合である。定義…

定義規定に規定する用語(3)

今回対象にしている法律は、条数の少ない法律を取り上げているので、定義規定を置いた場合には、用語に特定の範囲のものを含ませたり、用語を特定の範囲に限定したりするものを除いて、用語の定義は、その定義規定において行うのがほとんどである。 しかし、…

定義規定に規定する用語(2)

定義規定には、そのほとんどでその法令における重要な用語、すなわちその法令のキーワードとなる用語を含んでいる。法令のキーワードとしてどのようなものがあるかということは、比較的判断しやすいと思う。 典型的なものが、題名に使われている用語であるが…

定義規定に規定する用語(1)

本題に入る前に、なぜこのようなテーマを書こうと思ったのかについて、まず記載しておきたい。 以前記載した「定義規定を置く場所」で別表中の用語の定義に関して記載したときに、tihoujitiさんから、短文の例規の第3条を表形式にした場合に、その表中の用…

定義規定を置く場所

平成18年6月に公布された「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」に基づく認定こども園については、その基準を都道府県条例で定めることとされているため、同年12月にその基準を定めた条例が幾つか公布されていた。その中…

届出に関する規定の書き方

前回まで届出について書いたからというわけでもないが、今回は、届出に関する規定の具体的な書き方について記載してみたい。 届出に関する規定には、石毛正純『自治立法実務のための法制執務詳解』(P169)にあるように、届出をすべき主体(届出義務者)、届…

目的規定の意義

これまで、何度か目的規定について記載したが、今回は、その意義みたいなことを記載してみたい。 私自身、当たり前のように、第1条には目的規定(又は趣旨規定)を置くことが普通だと思い込んでいた。前田正道『ワークブック法制執務(全訂版)』(P70)*1…

目的等規定(趣旨等規定)

nationfreeさん(http://d.hatena.ne.jp/nationfree/20061123)が触れているのを拝見したので、取り上げてみます。 持ち込まれた条例案の原案が全体で5条程度だったのだが、その第2条が定義規定にされていたものがあった。 定義している語句は1つだけだっ…

高次の目的を掲げる場合の目的規定

目的規定に、直接的な目的とその達成の手段とに加えて、高次の目的を掲げる場合は、長文になることが多く、苦労したものである。 大島稔彦『法令起案マニュアル』(P188)には、この場合の基本的パターンとして次のように示されている。 この法律は、…(目的…

目的規定

前回、目的規定に関連したことについて触れたので、今回は、目的規定を書く際に気を付けていたことを2点程記す。 1点目は、目的達成の手段を書いている部分に、条例で定めている事項をすべて網羅させるということである。 この法律は、食品循環資源の再生…