2012-01-01から1年間の記事一覧

例規の立案で間違いやすい例(13)

今回取り上げる事例は、間違いやすいというレベルを超越している例である。 雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成23年厚生労働省令第48号)(雇用保険法施行規則の一部改正)第1条 雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)の一部を次のよ…

追記

2012年6月2日付け記事「人事院規則9−129附則第5項及び第6項の規定の意味〜適用と準用の規定」に追記しました。

自治体の長の任期

自治体の長の任期は、4年とされている(地方自治法第140条第1項)。この任期を捉えて、「1期勤めた」とか、「今は2期目だ」とか言われることがある。 この「1期」は、長の退任事由によっては、いつも4年になるわけではない。以前、その退任事由はどの…

人事院規則9−129附則第5項及び第6項の意味〜適用と準用の規定

平成24年5月1日に公布された人事院規則9−129−1により、人事院規則9−129が改正されているが、改正後の同規則附則第5項及び第6項は、少し見ただけでは、その意味がよく分からない規定である。そこで、これらの規定について触れてみることにする。 まず…

本則におかれる経過規定の例

法令の制定・改廃を行う場合、それにより新しい法秩序に円滑に移行するため、従来の秩序をある程度容認するとか、新しい秩序の設定に暫定的な特例を設けるとかする経過的な措置を定めることが多い(法制執務研究会編『新訂ワークブック法制執務』(P292)参照…

最低賃金法と公契約条例の関係に関するメモ

平成21年2月に参議院において、自治体が制定する公契約条例と最低賃金法の関係について質問主意書が提出されている。私がこれを知っているのは、おそらくネットでどなたかが取り上げていたからだと思うが、ここにメモとして残しておくことにする。 最低賃金…

基本法の運用上の留意事項を規定する法律

平成23年6月24日に公布された「津波対策の推進に関する法律」(以下「津波対策法」という。)は、東日本大震災が津波により多数の人命を奪ったことから、この惨禍を2度と繰り返すことのないよう、津波対策に万全を期するため制定された法律である。 津波対…

庁舎に自動販売機を置くことは、行政財産の目的外使用か

以前『自治体法務NAVI』の「自治体法務Q&A」に行政財産の目的外使用についての記事が幾つか掲載されているが、これが分かりにくい。 市役所の庁舎内や公の施設に自動販売機を置く場合、行政財産の目的外使用によるのが通常ではないかと思うのだが、同Vol.…

例規の立案で間違いやすい例(12)

今回取り上げる事例は、間違いというわけではないが、関連する事例をこのシリーズで取り上げたので、このシリーズで取り上げる。 地方税法施行規則の一部を改正する省令(平成23年総務省令第96号) (略)附則第6条中第9項から第11項までを削り、同条第12…

両罰規定における法人格のない団体に関する規定

第129条 法人の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前2条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各条の罰金刑を…

道路交通安全行政の在り方

最近改めて、道路交通安全行政に関して考える機会があった。行政は、道路交通安全の分野に関し事故防止の啓発活動をしているが、私は、かねてから行政の関与は過剰であるように感じていた。 もし、自動車事故を無くそうとするのであれば、例えば自動車の機能…

「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」と地方公務員の給与(下)

今回はこのシリーズの最後として、法附則第12条の立法者の意思がどのようなものか、国会における審議のうち、提案者の見解を見ていくことにする。

「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」と地方公務員の給与(中)

今回は、法に対する政府(総務大臣)の見解を取り上げる。 国会において、次のような議論がなされている。

「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」と地方公務員の給与(上)

既に幾人かの方が取り上げておられるが、厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性から、国家公務員に対する給与を平成26年3月31日までの間減額して支給する措置を講ずることなどを内容とする「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平…

法令の名称の略称(その4)

このシリーズで今回は、改正法令以外の法令の略称の例を、2つ程取り上げる。 まず、消費者庁及び消費者委員会設置法附則第3項に規定されている次の例である。 消費者庁及び消費者委員会設置法(平成21年法律第48号)附 則3 政府は、この法律、消費者庁及…

改正規定の一部について施行期日を異ならせる場合の珍しい例

現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための地方税法等の一部を改正する法律(平成23年法律第83号)(地方税法の一部改正)第1条 地方税法(昭和25年法律第226号)の一部を次のように改正する。 (略)第23条第1項第4号中……に改め…

「A」を書かなければいけないのに「B」を書いている例(下)

前回取り上げた文献には、次のような規定も記載されている。 (定員)第○条 児童福祉条例第4条第4号に規定する保育所の定員は、60人以上とする。ただし、次の各号に掲げる場合はこの限りでない。(1) 小規模保育所(60人以上の定員で設置することが困難であ…

「A」を書かなければいけないのに「B」を書いている例(上)

以前、条例審査を行った際、原課の案として、法律で条例に委任されている事項は技術的基準であるのに、住民の意見を聴くことを書いてきた例があった。このように、審査に持ち込まれるものには、「A」を書かなければいけないのに「B」を書いている例はよく…

水源地域保全条例案

外資の大規模森林買収に対抗 埼玉県が2月議会に水源保全条例案提出へ中国企業などが日本の水源地を大規模に買収しようとする動きが活発化していることから、埼玉県は土地取引の際に所有者に事前届け出を義務づける水源地域保全条例案を県議会2月定例会に提…

基準を定めている法令をそのまま引用することについて

少し前になるが、半鐘さんが、今回の分権改革に伴って、条例で定める必要がある施設・公物設置管理の基準に関し、法令の規定を引用して書くことについて記載されていた。 このことについて、川崎政司『「地域主権改革」関連法』(P143)には、次のように記載さ…

地域主権改革一括法を受けた条例の規定内容〜目的規定を中心にして(下)

このシリーズの最後に、小泉祐一郎『地域主権改革一括法の解説』における児童福祉条例試案(前掲書(P293〜))を取り上げておくことにする。 条例試案における目的規定は、児童福祉法第1条の理念規定を参考としているが、その規定は、次のとおりである。 …

地域主権改革一括法を受けた条例の規定内容〜目的規定を中心にして(中)

小泉祐一郎『地域主権改革一括法の解説』では、自治体の道路条例において、地域の交通基盤の整備や歴史景観等を加えた目的規定とすることを提案しており、その試案における目的規定を次のようにしている。 (目的)第1条 この条例は、地域の交通基盤の整備…

地域主権改革一括法を受けた条例の規定内容〜目的規定を中心にして(上)

前回(2012年1月14日付け記事「出先機関の事務の一部の管轄区域を異なったものとすること」)取り上げた、小泉祐一郎『地域主権改革一括法の解説』は、各分野ごとの例規の整備方針等について記載している。 このなかで、どのような事項を条例事項とし、規則…

出先機関の事務の一部の管轄区域を異なったものとすること

元地方分権推進委員会事務局員である小泉祐一郎氏の『地域主権改革一括法の解説』は、今回の地方分権改革に伴う例規の整備に限らず、例規の立案一般にも参考になる記載がある。 ただ、少し気になる記載も幾つか見られる。例えば、前掲書P51には、都道府県か…

法令の名称の略称(その3)〜改正法令の附則にみられる例(2)

前回(「法令の名称の略称(その2)〜改正法令の附則にみられる例(1)」)に引き続き、改正法令の名称の略称の例を取り上げる。 <例1>日本年金機構法(平成19年法律第109号)附 則第35条 施行日の前日に旧組合の組合員であった者(施行日に厚生労働省…

年始

あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。