2007-01-01から1年間の記事一覧

修正

2007年5月12日記載の修正(脚注2の追加)をしました。

自治体の組織(7)〜委任と専決

今回は、委任に関して感じていたことについてまず触れた後、委任と専決の例規への定め方について記載したい。 事務の委任は、長の補助機関であれば、地方自治法第153条第1項に規定がある。他の執行機関であれば、例えば教育委員会は、地方教育行政の組織及…

自治体の組織(6)〜各執行機関(特に長)の組織・②内部組織

内部組織*1についての地方自治法の規定をまず掲げておく。 地方自治法第158条 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができる。この場合において、当該普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置…

自治体の組織(5)〜各執行機関(特に長)の組織・①出先機関(その2)

前回(「自治体の組織(4)〜各執行機関(特に長)の組織・①出先機関(その1)」)、松本・逐条の引用部分で触れているが、いわゆる土木事務所は、条例で設置する必要はないとされている*1。 しかし、実際には、土木事務所に一定の許認可権限等を地方自治…

自治体の組織(4)〜各執行機関(特に長)の組織・①出先機関(その1)

出先機関に関する例規については、対象としている出先機関が条例で設置しなければいけないものかその必要がないものかについて、一番気を使うところではないかと思う。 自治体の長が条例で設置しなければならない出先機関としては、まず地方自治法第155条第…

自治体の組織(3)〜執行機関(その2)

長の事務を行政委員会に行わせること、及び行政委員会の事務を長に行わせることについては、地方自治法に次のとおり委任又は補助執行に関する規定がある。 地方自治法第180条の2 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部を、当該普通地方公共団…

自治体の組織(2)〜執行機関(その1)

自治体に置かれる長以外の執行機関については地方自治法第180条の5に定めがあるが*1、自治体の執行機関はすべて法定されており、自治体が条例で設けることはできない*2。 そして、執行機関の権限は、原則として法定されているため、新たな事務が生じた場合…

自治体の組織(1)〜はじめに

自治体の組織については、その例規の審査をしていていろいろ感じることがあったので、それをいつか書こうとは思っていたのだが、たまたまこの4月に関係する部署に異動した知人がいたので、ここで1度まとめてみることにした。 自治体の組織については、なお…

条等の前に条等を加えることとする場合

「第○条の前に次の1条を加える。」というように、条等の前に条等を追加する場合がある。具体例を掲げる。 土地改良法等の一部を改正する法律(土地改良法の一部改正)第1条 土地改良法(昭和24年法律第195号)の一部を次のように改正する。(略)第90条第…

定義規定に規定する用語(4)

3回にわたって法律の定義規定を幾つか取り上げてきたが、今回対象にしたものに限ってみると、定義規定を置く際の考え方として、次のように言えるかと思う。 定義規定を設ける場合とは、その例規のキーワードとなる用語を定義する必要がある場合である。定義…

定義規定に規定する用語(3)

今回対象にしている法律は、条数の少ない法律を取り上げているので、定義規定を置いた場合には、用語に特定の範囲のものを含ませたり、用語を特定の範囲に限定したりするものを除いて、用語の定義は、その定義規定において行うのがほとんどである。 しかし、…

定義規定に規定する用語(2)

定義規定には、そのほとんどでその法令における重要な用語、すなわちその法令のキーワードとなる用語を含んでいる。法令のキーワードとしてどのようなものがあるかということは、比較的判断しやすいと思う。 典型的なものが、題名に使われている用語であるが…

定義規定に規定する用語(1)

本題に入る前に、なぜこのようなテーマを書こうと思ったのかについて、まず記載しておきたい。 以前記載した「定義規定を置く場所」で別表中の用語の定義に関して記載したときに、tihoujitiさんから、短文の例規の第3条を表形式にした場合に、その表中の用…

改める途中で全改される条を移動する場合の改め方

tihoujitiさんが、条を全改して移動する場合について取り上げていたのを拝見して(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20070316)、私も取り上げてみようと思ったのですが、その前に、項(号も同様)を加えた条を移動する場合のことから書いていくことにします…

指定区域に関する経過規定

区域指定を行い、その区域内で一定の規制を行うこととする条例を制定していたが、その条例を全面的に改めた際に、旧条例に基づく指定等については、新条例に基づいて当該区域を指定するまでは旧条例はなお効力を有することとしたのだが、その指定がなされる…

特別会計の廃止に伴う経過規定

特別会計を、例えば平成18年度限りで廃止する場合には、廃止条例の施行日は平成19年4月1日とするが、出納整理期間があること等により、所要の経過規定を置く必要がある。 法律の例として、国立学校特別会計法が国立学校法人法等の施行に伴う関係法律の整備…

経過規定については今回で当面終了

経過規定については、当面今回で終了します。

附属機関の設置の場合における経過規定

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の制定に併せて、私の自治体でも個人情報保護条例の改正を行ったが、改正前の条例では、附属機関としてA審議会を置き、次の職務を行わせることとしていた。 ① 個人情報の開示決定に対する不服申立てに関して諮…

施行日前に一定の行為をすることができる旨の経過規定

ある行為等について許可制を採ることとした場合、当該行為等を施行日にしたい者もいるであろう。そのため、法律では次のような経過規定を置くことがある。 第○条の許可の手続は、この法律の施行前においても行うことができる。 しかし、届出制の場合には、当…

経過規定の書き方(その2)

経過規定がうまく書けない最大の理由は、経過措置が必要なケースを具体的に拾い上げることをせずに、何となく書こうとするからではないかと思う。そのケースを具体的に拾い上げ、かっこよく書こうとせずに、それを項で並べて書いておくだけでもとりあえず十…

経過規定の書き方(その1)

経過規定をどのように書くかについては、私は、最初は類似した案件で置かれている経過規定を調べ、それを参考に書いていたのだが、次第に法令等の手本がなくても書いていけるようになった*1。その際に、気を付けていたことを記載したい。 経過規定は、新規制…

経過規定について

経過規定については、前田正道『ワークブック法制執務(全訂)』(P259)*1には次のように記載されている。 法令の制定・改廃により、一挙に今までの法秩序が破壊され、新しい法秩序に移行することには困難を伴うことが多いし、社会生活に混乱を生ずることにも…

定義規定を置く場所

平成18年6月に公布された「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」に基づく認定こども園については、その基準を都道府県条例で定めることとされているため、同年12月にその基準を定めた条例が幾つか公布されていた。その中…

2006年10月7日掲載記事について

以前記載した「条例で規則へ委任することを規定することについて」では、条例による委任は、規則ではなく長に対してすべきだということを書いた。今回は、規則に委任することを前提に記載しているが、それが一般的であるためであり、以前の考え方が変わって…

届出に関する規定の書き方

前回まで届出について書いたからというわけでもないが、今回は、届出に関する規定の具体的な書き方について記載してみたい。 届出に関する規定には、石毛正純『自治立法実務のための法制執務詳解』(P169)にあるように、届出をすべき主体(届出義務者)、届…

届出制とその規制手法について(追記)〜公表

公表について考える上で、公表を企業(法人)に対する刑事制裁として用いることができるかどうかについてに関してであるが、川崎友巳『企業の刑事責任』(P471)に興味深い記述があるので、それを次に記載する。 氏名公表制度に対しては、制裁の効果が、社会…

届出制とその規制手法について(その4)

bottomさん(http://bottom.at.webry.info/200701/article_23.html)(http://bottom.at.webry.info/200701/article_25.html)とkei-zuさん(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20070130)(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20070131)が公表について取り上げてお…

届出制とその規制手法について(その3)

「その2」では、許可制の対象となる行為等と届出制の対象となる行為等の性格の違いから、規制内容についても一線を画さなければならない部分があると記載した。それが、「その1」で引用した大塚直『環境法(第2版)』にもあるように、原則としては届出の…

例規の形式

前回の続きを書こうと思っていたのですが、nationfreeさん(http://d.hatena.ne.jp/nationfree/20070122)が例規の形式について書かれているのを拝見し、私も常々思っていたことがあるので、そのことを書くことにします。 例規の形式については、規則も訓令…

届出制とその規制手法について(その2)

許可制と届出制との違いを考えるに当たって、届出制に行政処分・罰則をリンクさせている例である景観法を取り上げてみたい。この景観法の仕組みに関しては、衆議院国土交通委員会において、竹歳国土交通省都市・地域整備局長の次のような答弁がある。 このさ…