2007-01-01から1年間の記事一覧

2007年6月30日掲載記事について

nationfreeさん(http://d.hatena.ne.jp/nationfree/20070926)に触れていただいていますが、2007年6月30日掲載記事「規則の活用〜文書管理に関する規程を規則にすることについて」において、「財務規則のように自治体に共通する事項を規則で定めることもあ…

1年経過して

このブログを始めて1年が経過しました。 当初は、例規審査をやっていたときのことを書き留めておこうということだったのですが、文字にしてみてから考え方が変わることもあったりして、改めて勉強したりしています。 そんな程度のブログですが、取り上げて…

「経過する日」と「経過した日」

「経過する日」と「経過した日」の違いは、ある程度法制執務をやった人にとっては当たり前のことなのかもしれない。しかし、私は、当初は漫然と使っていて、その違いをあまり意識していなかったということもあるので、ここに書き記しておきたい。 違いは、用…

外来語の使用

条例の題名に「インセンティブ」という言葉を使うということも考えているがどうだろうと相談されたことがある。 例規に外来語の使用をひかえるべきであるということは、ある程度共通した認識であろうと思う。一般的な考え方としては、次のようなものになるの…

様式の表示(2)

近年制定された省令(府令)における様式の表示については、次のようなものがあった*1。 1 「様式第1」「様式第2」……<例>電気事業託送供給等収支計算規則(平成18年経済産業省令第2号)、景観法施行規則(平成16年国土交通省令第100号)(ただし、本則…

様式の表示(1)

様式は、法律又は政令で定められることがほとんどないので、ローカルルールが多い分野であると思う。 そのうち、様式の表示をどのようにするかについて、石毛正純『自治立法実務のための法制執務詳解(四訂版)』(P66)には、次のように記載されている。 様…

とりあえず告知

nationfreeさんの8月30日付けの記事(http://d.hatena.ne.jp/nationfree/20070830)のコメント欄で触れてしまったので、ここでも一応告知します。 1か月後くらいを目途に、例規の形式に関することを書いてみたいと思います。このテーマについて、私自身一…

一部改正における法制執務のルールに関する雑感

法令の一部改正は、数多いルールにしたがって行っていく。そして、そのルールはありとあらゆる場面で決められているように思いがちであるが、決してそのようなことはない。そのルールをすべて決めることはとても合理的だとは思えないし、そもそも不可能であ…

「当該各号」と書く場合の用語の使い方あれこれ

細かい用語の使い方について、どのように使うのか悩むことがある。しかし、所管している省庁の法令ごとに微妙に異なっていたりすることもあり、どれくらいこだわるかは程度問題の部分もあると思う。そのような例として、前の各号という用語を受けて「当該各…

「 」の用例

法令においては限定して用いられるが、一般の公文書では比較的ルーズに用いられるものがある。その代表例として、『・』(中点)と『「 」』(かぎ括弧)を挙げることができるのではなだろうか。これらの用法として、前田正道『ワークブック法制執務(全訂)…

飲酒運転をした者を懲戒免職処分にする処分指針について

処分指針において飲酒運転をした者を懲戒免職処分にする旨定めることについて、過日、kei-zuさんが取り上げていますが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20070808)、多少関心がある分野であるので、取り上げてみることにします。 まず、飲酒運転を行って懲戒…

一部改正の例規を改正する例規の立案(5)

改正規定のとらえ方については、前回までに、河野久『立法技術入門講座3法令の改め方』の分類に基づき記載してきたが、それをまとめると原則として次のように考えていけばいいのではないかと思っている。 ○ 改正規定における段落を1つの改正規定と考える。…

一部改正の例規を改正する例規の立案(4)

6 改正規定の複雑なパターンとそのとらえ方 (1) 字句の改正+条の追加 第○条第1項中「……」を「……」に改め、「……」を削り、同条第2項中「……」の下に「……」を加え、同条の次に次の1条を加える。第△条 …… この場合について、河野久『立法技術入門講座3法令…

一部改正の例規を改正する例規の立案(3)

3 条・項等を追加する改正規定 河野久『立法技術入門講座3法令の改め方』によると、条を追加する改正規定については、「第○条の次に○条を加える改正規定」というように表現し、条より小さい単位である項・号等を追加する改正規定については、「第○条第○項…

一部改正の例規を改正する例規の立案(2)

通常の一部改正の例規については、条、項、号などを捉えて改め文を作成していくが、一部改正の例規を改正する例規については、改正規定を捉えて改め文を作成していくことになる。 一部改正の例規を改正する例規の立案のポイントは、この改正規定の捉え方では…

一部改正の例規を改正する例規の立案(1)

以前、洋々亭さんのサイト(http://www.hi-ho.ne.jp/tomita/yybbs/)で一部改正の例規を更に改正する例規の立案について取り上げられていたが、これは、解説している文献はあまりないため、とまどう面もあるのかと思う。 もちろん、法令でも実例はあるのだが…

項建ての附則を条建ての附則へ改正する例

前回(http://d.hatena.ne.jp/hoti-ak/20070720)引用したtihoujitiさんの記事で取り上げていた「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成13年政令第4号)」第6条では…

条名が本則と通し条名になっている附則をそうでない附則へ改正する例

tihoujitiさん(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20070718)が附則の全部改正について取り上げているが、全部改正の手法をとっているのは技術的な理由があるのではないかと思い、法律で附則の全部改正をしているものを衆議院のホームページ(制定法律)(ht…

第1項を追加する改め文

例えば2項からなる条に第1項として項を追加する場合には、次の2通りの改め文がある(前田正道『ワークブック法制執務(全訂)』(P400〜)参照)*1。 <例1> 第○条第2項を同条第3項とし、同条第1項を同条第2項とし、同項の前に次の1項を加える*2。<…

一部改正法令の溶け込みが同時に行われることについて

一部改正法令が改正対象法令にどのように溶け込むかについて、大島稔彦『法令起案マニュアル』(P431〜)には、次のように記載されている。 一部改正法令の施行による改正対象法令の改正は、施行の時に、すべての改正が同時に行われると考えられている。一部…

規則の活用〜文書管理に関する規程を規則にすることについて

いわゆる地方分権一括法による新制度のもとでは、条例の活用ということはよく言われるが、規則についてはあまり語られることがない。そして、規則というと、ともすると、政省令のように条例の下請け的なもののようにも考えがちである。事実、小早川光郎・小…

語句の並列に着目した文章の見方とは

前回(「法制執務に向いているのは、文系か理系か」)、私は特に並列している語句に着目して文章を見ているということを記載したが、具体的にどのようにやっていたかを記してみたい。ある自治体における例規の次のような規定を例に考えてみる。 第18条 町長…

法制執務に向いているのは、文系か理系か

私は、文系の大学を出ているのだが、高校の頃はどちらかと言えば理系科目の方が成績は良かったと思っている*1。だからというわけではないが、法制執務というのは、どちらかというと理系向きの業務ではないかと感じるのである。 私の場合、例規審査をやるよう…

注と備考

今回は、様式における備考と注の使い分けについて記載する。当然ではなるが法律・政令には例がないので、省令等の例を取り上げる*1。 前回、実際の用紙に書く必要があるかないかの違いだと言っていた人がいたということを記載したが、そのような意味合いで使…

注と備考

「注」と「備考」については、前田正道『ワークブック法制執務(全訂)』(P204)*1には、「表に(注)又は(備考)が付けられることがあるが、これらは、……表の中に用いられている語句の定義、……表を適用する場合の留意事項、細則等……を規定する場合に用い…

調整規定

今回は別のことを書こうと思っていたのですが、tihoujitiさんが調整規定について書かれているのを拝見したので(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20070605)、そこで取り上げられているものとは若干異なりますが、こんなときに使うことができると思ったこと…

退職手当を支給しないこととする規定の書き方

長の退職手当を支給しないこととすることについては、以前、洋々亭さんのサイト(http://www.hi-ho.ne.jp/tomita/yybbs/)で議論されていたが、その適否についての考え方は、前回(「特別職の職員の給与等の減額等」)多少触れた。今回は、そのような判断がな…

特別職の職員の給与等の減額等

特別職の職員の給与を減額したり、退職手当を支給しないようにすることは、結構行われているのではないかと思う。 そのうち、財政事情を考慮して特別職の職員の給与を一定期間減額するため条例上手当てすることについては、すべての又は一定の範囲の特別職を…

自治体の組織(9)〜附属機関(その2)

今回は、附属機関に関する条例の提案権といわゆる私的諮問機関との違いについて記載する。今回でとりあえず自治体の組織については最後である。 附属機関に関する条例の提案権は、次のように長と議員の双方が有していると解されているようである。 附属機関…

自治体の組織(8)〜附属機関(その1)

自治体の附属機関の設置は条例によることとされているが、なぜ条例事項とされているかについて理論的には説明できないのではないかということについては、既に「自治体の組織(1)〜はじめに」で多少触れているが、今回はそれを敷衍して述べてみたい。 まず…