2010-01-01から1年間の記事一覧

現在では用いられない改正方法(3)

今回も、条等の改正を表の改正と同様に「絵」として捉えて行う例を取り上げる。 次のような例がある。 運輸省設置法等の一部を改正する法律(昭和45年法律第80号) (運輸省設置法の一部改正)第1条 運輸省設置法(昭和24年法律第157号)の一部を次のように…

現在では用いられない改正方法(2)

条等の改正を表の改正と同様に「絵」として捉えて行う例を、もう少し取り上げる。 そのような例として、次のような条の全部改正に併せて章名まで追加してしまう例もある。 食品衛生法の一部を改正する法律(昭和32年法律第175号) (略)第13条を次のように…

現在では用いられない改正方法(1)

各自治体における例規の改正方法には、少なからずローカルルールがあると思うが、そのローカルルールの中には、以前法令のレベルでも採用されていたものもある。 そのような、かつては用いられていたが、現在では用いられない改正方法を取り上げることとした…

複数の条等に同じ内容の後段を設ける例

例規の一部改正で、同一の語の改正のみが数条にわたるときには、他の改正が中途に加わらない限り、まとめて「第A条、第B条及び第C条中「○○」を「××」に改める」とすることとされている(法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』P350))。 では、これが…

様式の追加〜省令の例

年金積立金管理運用独立法人の業務運営並びに財務及び会計に関する省令の一部を改正する省令(平成22年厚生労働省令第33号) (略) 第11条の次に次の1条を加える。 (損益計算書の様式)第11条の2 管理運用法人に係る損益計算書は、別紙様式により作成し…

文書管理規則は各執行機関が定めなければならないか

今回も、宇賀克也教授が「公文書管理法の制定を受けた地方公共団体の対応」『ジュリスト(No.1393)』で記載されていることを取り上げる。 文書管理に関する事項は、2007年11月2日付け記事「例規の形式(7)〜規則の内容(その6)」及び2007年6月30日付け…

公文書館の設置等の権限

今回は、宇賀克也教授が、『ジュリスト(No.1393)』に掲載した「公文書管理法の制定を受けた地方公共団体の対応」という論文に関連して、公文書館の設置・管理の権限と公文書の管理の権限が、どの執行機関に属するかということを取り上げる。 1 公文書館の設…

共通見出しは改正せずに条のみ全部改正する場合の改め文

条を全部改正するが、その前の共通見出しは何も改めたくない場合に、 第○条を次のように改める。第○条 ………。 という改め文を書いて、例規編集において共通見出しが削られてしまったという例をtihoujitiさん(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20100418)さん…

法令の名称の略称

長い題名の法令を引用する場合に、その略称を置くことはよくあることである*1。 その略称をどのようなものにするかについては、明確なルールはないように感じている。 さらに、次の例のように、租税特別措置法という一の法律の中で、「投資信託及び投資法人…

下位例規への委任規定〜〜最高裁平成18年1月13日判決

法律の下位例規の定めを法律の委任の範囲を超えるとして無効とした最高裁の判例としては、前回(2010年4月3日付け記事「下位例規への委任規定〜最高裁平成21年11月18日判決」)取り上げた判例のほか、(1)農地法施行令第16条に関する最高裁昭和46年1月20日…

下位例規への委任規定〜最高裁平成21年11月18日判決

政令の定めが法律の委任の範囲を超えるものとして無効とされた「東洋町議リコール署名最高裁平成21年11月18日大法廷判決」は、判決が出された当時、既にブログ等で取り上げられた方もおられ、『ジュリスト(No.1396)』でも特集がされているが、法令等の委任例…

就学支援金の額の決定

子ども手当法案と並んで話題の「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案」の中で、私立高校の生徒等に支給される就学支援金に関する部分で気になったことがありましたので触れることにします。

目的規定〜公文書管理条例

『自治体法務研究(No.20)』に、公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」という。)の制定を受けて、弁護士であり大学院教授である方が公文書管理に関するモデル条例案を提示されている。 私は、実際に弁護士等の学識経験者が条例の案文の形で執行…

検察協議

やや間があいてしまいましたが、2010年1月22日付け記事「罰金と過料(下)」の注記で記載した検察協議のことに触れることにします。 千代田区生活環境条例における路上喫煙に対する規制については、当初は罰金とすることが考えられていたため、その立案の過…

表の項を全部改正し、その項の次に項を追加する改正

以前、おおさか政策法務研究会管理人さんの「反則法制」で、 A ………… B ………… C ………… D ………… E ………… F ………… という別表を A ………… E ………… X ………… Y ………… に改める場合の改め文をどのようにするか取り上げられていましたが、私は、次のようにコメント…

例規の立案で間違いやすい例(8)

久しぶりになりますが、このシリーズを書くのにふさわしい事例を見かけました。 新規化学物質の製造又は輸入に係る届出等に関する省令の一部を改正する省令(平成22年厚生労働省令・経済産業省令・環境省令第1号)第1条 新規化学物質の製造又は輸入に係る…

「行政不服審査法案に関する勉強会」

少し前にtihoujitiさん経由(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20100127)で、総務省のホームページに「行政不服審査法案に関する勉強会(概要)」として、第169回国会に提出された改正法案(以下単に「法案」という。)について、有識者から提示された意見…

平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案

ネットで批判的に取り上げられている「平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案」について、私が感じていることを記載してみる。

住民投票法案

住民投票法案:策定へ 条例、自治体に義務付け−−政府政府は、住民投票の結果を地方自治体の意思決定に反映させるため、「住民投票法案」の策定作業に入った。早ければ次期臨時国会に法案を提出し、成立を目指す。住民投票は住民の意思表明手段として活用され…

告知

最近、いろいろと取り上げたい話題が多いのですが、当面、次の話題に順次触れていきたいと考えています。 住民投票法案 平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案 行政不服審査法案(「行政不服審査法案に関する勉強会」) 実は最初に子ども手当法…

A条例と旧A条例の一部を改正する場合の条例の題名

以前、洋々亭さんのサイトで、「A条例」と「○○条例××条の規定によりなお効力を有することとされる同条例による改正前のA条例(以下「旧A条例」といいます。)」の2条例の一部を改正する場合の条例の題名をどのようにすべきか議論されていました。投稿さ…

罰金と過料(下)

近年、自治体における過料の活用について語られることが多い。財団法人日本都市センター『行政上の義務履行確保等に関する調査研究報告書』(P33)には、「最近では、空き缶、たばこの吸殻等の投捨て、路上喫煙等、住民生活に身近な違反行為を取り締まるため、…

罰金と過料(上)

罰金と過料の違いは、一般的には刑罰である罰金は、直接的に社会の法益を侵害する行為に対する制裁であるのに対し、過料は、行政上・民事上・訴訟手続上の秩序を乱す程度の行為に対する制裁であるとされている(大島稔彦『法令起案マニュアル』(P233))。 し…

罰則規定の表記(下)

罰則規定について、同じ内容を規定していると思われるのに表記が異なっている例として、次のように標識を掲示する義務に違反する場合の規定例がある。 信託業法(平成16年法律第154号)(標識の掲示) 第72条 信託契約代理店は、信託契約代理業を営む営業所…

罰則規定の表記(上)

罰則規定の表記に当たっては、犯罪の構成要件を明確に表示するようにしなければならないとされる。例えば、法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P238〜)では、次のように記載されている。 罰則には、よく、「第○条の規定に違反した者」を処罰する旨…

謹賀新年

あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。