雑感

現在では用いられない改正方法(4)

今回は、条等の移動について、現在では用いられない改正方法を取り上げる。 まず、条等の移動の場合の改正方法の原則を確認しておく。法制執務研究会『新訂ワークブック』(P459)には、条等の繰下げの場合であるが、次のように記載されている。 繰下げは、原…

現在では用いられない改正方法(3)

今回も、条等の改正を表の改正と同様に「絵」として捉えて行う例を取り上げる。 次のような例がある。 運輸省設置法等の一部を改正する法律(昭和45年法律第80号) (運輸省設置法の一部改正)第1条 運輸省設置法(昭和24年法律第157号)の一部を次のように…

現在では用いられない改正方法(2)

条等の改正を表の改正と同様に「絵」として捉えて行う例を、もう少し取り上げる。 そのような例として、次のような条の全部改正に併せて章名まで追加してしまう例もある。 食品衛生法の一部を改正する法律(昭和32年法律第175号) (略)第13条を次のように…

現在では用いられない改正方法(1)

各自治体における例規の改正方法には、少なからずローカルルールがあると思うが、そのローカルルールの中には、以前法令のレベルでも採用されていたものもある。 そのような、かつては用いられていたが、現在では用いられない改正方法を取り上げることとした…

就学支援金の額の決定

子ども手当法案と並んで話題の「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案」の中で、私立高校の生徒等に支給される就学支援金に関する部分で気になったことがありましたので触れることにします。

例規の立案で間違いやすい例(8)

久しぶりになりますが、このシリーズを書くのにふさわしい事例を見かけました。 新規化学物質の製造又は輸入に係る届出等に関する省令の一部を改正する省令(平成22年厚生労働省令・経済産業省令・環境省令第1号)第1条 新規化学物質の製造又は輸入に係る…

「行政不服審査法案に関する勉強会」

少し前にtihoujitiさん経由(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20100127)で、総務省のホームページに「行政不服審査法案に関する勉強会(概要)」として、第169回国会に提出された改正法案(以下単に「法案」という。)について、有識者から提示された意見…

平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案

ネットで批判的に取り上げられている「平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案」について、私が感じていることを記載してみる。

住民投票法案

住民投票法案:策定へ 条例、自治体に義務付け−−政府政府は、住民投票の結果を地方自治体の意思決定に反映させるため、「住民投票法案」の策定作業に入った。早ければ次期臨時国会に法案を提出し、成立を目指す。住民投票は住民の意思表明手段として活用され…

「市民協働の考え方・つくり方」

松下啓一先生から、その御著書『市民協働の考え方・つくり方』をいただきました。ありがとうございました。 本書は、「市民協働」について、定義、必要性、内容、そしてその仕組みづくりまで一通りのことが学べ、しかも非常に読みやすいものとなっています。…

例規の過誤

今回は、tihoujitiさん(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20090611)が掲載されていた次の新聞記事が気になったので、それを取り上げてみます。 鹿笛:先日開かれた大和高田市の記者会見で…/奈良 先日開かれた大和高田市の記者会見で、一瞬目を疑った。市…

「新旧対照表方式の意義と展望」

松下啓一先生が、『自治体法務研究』に「新旧対照表方式の意義と展望」を掲載されています。松下先生には、この論文において、このブログの関連記事も含め過分なお言葉をいただいていますが、私自身、勉強をさせていただくよい機会を得たものと思っています…

謹賀新年

あけましておめでとうございます。 このブログを始めて2年半程が経過しました。ブログを始めた理由は、2006年9月30日付け記事で書いているように、どちらかという内向きのものであり、引継書的なものとすることを想定していました。そして、法制執務を解説…

例規の立案で間違いやすい例(7)

今回は、号の細分を全部改め、さらにその数が増える事例を取り上げます。 科学技術研究調査規則(昭和56年総理府令第33号)第4条第1号は、その細分としてイからチまでが設けられていましたが、地方税法施行規則等の一部を改正する等の省令(平成20年総務省…

新旧対照表方式に関するブログを拝見して

最近、新旧対照表方式について書かれているブログを幾つか拝見しました。 その中で、「反則法制」(http://gan.bne.jp:8080/BLOG/index.html)を運営されている、おおさか政策法務研究会管理人さんには、過分なお言葉をいただき、ありがとうございます。 私…

例規の立案で間違いやすい例(6)

いささか古いのですが、次のような事例があります。 行政書士法の一部を改正する法律(昭和46年法律第101号)第1条 行政書士法(昭和26年法律第4号)の一部を次のように改正する。 (略)第16条第2号中「会の代表者その他」を削り、同条中第5号を削り、…

例規の立案で間違いやすい例(5)

今回は、「及び」「並びに」の用い方が間違っているのではないかと思われる規定を見かけたので、それを取り上げます。 その規定とは、次の知的財産基本法第25条の規定です。 (所掌事務)第25条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。(1) 推進計画を作成し、…

例規の立案で間違いやすい例(4)

おそらく間違っているわけではないのかもしれませんが、便宜上このシリーズで取り上げます。 一事例を次に掲げる。 独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成20年政令第263号) (略)(独立…

例規の立案で間違いやすい例(3)

2008年1月18日付け記事及び同年2月1日付け記事以来久しぶりにこのシリーズを書くことにします。 少し前になるのだが、次のような事例を見かけた。 地方交付税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成20年政令第153号)(地…

今回も自戒の意味で

2008年6月8日付け記事で自らの反省としてよく確認して書くべきだというようなことを書いたので、同じように安易に記載をしてミスをした例を書いておきます。 実際には転記元の資料が誤っていたですが、次の言葉を資料に使ってしまったことがありました。 …

「法制執務詳解」の改訂に際して

やや時機を逸した感がありますが、「法制執務詳解」の改定版が発刊されたので、同書について触れることとします。 法制執務に関連した書籍で私が個人的に好きなものを挙げろと言われれば、法制執務研究会「新訂ワークブック法制執務」、大島稔彦「法令起案マ…

改正租税特別措置法の施行日

4月30日に再議決された歳入関連法案の施行日については、tihoujitiさん(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20080501)が改正地方税法に関して取り上げていらっしゃるが、私は以前、ガソリン税の暫定税率維持に関して取り上げたことがあるので(「期限の延長…

いわゆる「ブリッジ法案」について

この3月末に期限切れを迎える揮発油税に関する暫定税率の期限を5月末まで延長する「ブリッジ法案」については、結局取り下げられたのだが、「奇策」という言い方で批判的な論調が目立つ。 個人的には、これも一つの方法であり、この法案を出したことだけを…

例規の立案で間違いやすい例(2)

施行期日を定める規定には、案外落とし穴があります。 定番なのは、一部改正の例規において遡及適用を定めるときに、「この条例は、平成20年1月1日から施行し、平成19年4月1日から施行する。」としてしまうことです。これは法制執務研究会『新訂ワークブ…

例規の立案で間違いやすい例(1)

薬害肝炎に関する救済法は16日に公布されていますが、あわせて公布された省令の構成は、次のようになっています。 ○厚生労働省令第3号(公布文略)平成20年1月16日 厚生労働大臣 舛添 要一特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝…

薬害肝炎に関する救済法案に関する雑感(追記)

2007年12月29日付けの記事で、薬害肝炎に関する救済法案について取り上げたので、多少フォローしていきたいと思います。 なお、同記事で、本件について取り上げているブログについて記していますが、その時点でbewaadさんも次のとおり取り上げておられるので…

薬害肝炎に関する救済法案に関する雑感

薬害肝炎の問題については、2007年12月23日の福田首相の発言から、議員立法による救済という流れになっている。この立法という側面に着目して、現在のところ感じていることを記してみたい。 なお、この件を取り上げているブログで気が付いたものを、参考とし…

改訂版の「ワークブック法制執務」を読んで

「ワークブック法制執務」の改訂に関して2度程取り上げてきたので、ざっと読み終えた感想のようなことを記しておきます。 まず、端書きに「新人からベテランまで幅広く活用していただけるよう改善工夫を加えて」いるとありますが、例えば改正方式の基準につ…

「ワークブック法制執務」入手顚末記

12月7日付けの記事で「ワークブック法制執務」の改定版はまだ目にしていないと記載していますが、この15日にようやく入手することができました。 私の場合、書籍の購入は、ほとんどネットを利用しているのですが、「ワークブック法制執務」についても、ネッ…

「ワークブック法制執務」の改訂に際して

「ワークブック法制執務」の改訂については、何人もの方が取り上げていらっしゃるのを拝見しました。やはり、法制執務に携わる者にとっては、大きな出来事であったと言えるのでしょう。 「ぎょうせい」のリーフレットでは、同書を「法制執務の最高権威書」と…