2011-01-01から1年間の記事一覧

裁量事項の条例化

2011年5月27日付け記事「条例で懲戒処分の基準を定めることの可否」に対して、裁量基準を条例で定めることについて、いわゆる具体化条例をめぐる議論があるとのコメントをいただきました。 その返信にも書いたのですが、私は、その記事を記載したときは、そ…

自治体の区域が変わった場合の罰則に関する経過規定

ある者がA市の罰則規定を含む条例に違反したが処罰される前に、その違反をした場所を含む区域がB市の区域となった場合に、その者をなお処罰すべきと考えるときは、どのような措置を講ずるべきだろうか。 以前、ある県において、屋外広告物法に基づく条例で…

統一地方選挙の期日の延期と憲法第95条

3か月程前になるが、東日本大震災の影響により、統一地方選挙の期日においては選挙を適正に行うことが困難な地域において、その期日の延期等を行うため、「平成23年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関す…

条例で懲戒処分の基準を定めることの可否

MSN産経ニュース2011年5月17日付け配信記事 橋下知事、国歌不起立の処分基準も条例化 ルール守らぬ教職員「府にいらぬ」大阪府の橋下徹知事は17日、5月府議会で提出される入学式や卒業式での国歌斉唱時に起立することを府内の公立学校の教職員に義務付…

適用日を未来日にすること

洋々亭さんのサイトから*1 改正内容は、25条立ての附則の(1)22条から24条を全部改正する、(2)25条を削る、という内容です。そして、(1)で全部改正した22条及び24条の規定は、平成23年4月1日から遡及適用します。また、23条 の規定は、平成24年1月1日から…

例規の過誤(その2)

kei-zuさん経由(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20110508)で知ったのですが、木佐茂男教授が、地方自治法において引用条文の改正漏れがあったことを指摘されています(http://tabushi.cocolog-nifty.com/platz/2011/05/no139-4601.html)。*1 私が例規審査…

枝条を含む連続する4以上の条の移動〜その3

2011年3月26日付け記事「枝条を含む連続する4以上の条の移動〜その2」に、次のようなコメントをいただきました。 改め文は、記載の順序の通りに順次適用していくものと理解しています。そこで、一部改正の施行前に「71条、72条、73条、73条の2、……」とい…

定住自立圏構想(下)

定住自立圏の数が49圏域であることが多いのか少ないのかはよく分からないが、定住自立圏構想に対する理解は、まだ十分なものとはいえないだろう。例えば、以前、ある地方紙の社説で、定住自立圏構想について、次のような記載があった。 少しずつでも自立圏の…

定住自立圏構想(中)

定住自立圏構想のスキームに関して気になる点について、2点触れることにする。 1 定住自立圏の圏域について 定住自立圏構想推進要綱(以下「要綱」という。)によると、定住自立圏は、中心市と周辺市町村が、1対1の協定を締結することを積み重ねる結果と…

定住自立圏構想(上)

新しい広域行政のためのスキームとして、定住自立圏構想が推進されている。3月14日現在、49圏域で定住自立圏の取組が行われている。 定住自立圏構想とは、総務省のホームページによると、次のとおりである。 定住自立圏は、地方圏において、三大都市圏と並…

例規の立案で間違いやすい例(11)

沖縄総合事務局組織規則の一部を改正する内閣府令(平成22年内閣府令第44号) (略)第46条の見出しを「(畜産振興室、企画指導官及び環境保全型農業振興専門官)」に改め、同条第1項中「農畜産振興課に」を「生産振興課に、畜産振興室」に、「4人、」を「…

行政代執行を行うための立法技術に関するメモ

1 見解 条例で禁止規定を定めた場合は、通常罰則等によりその履行を担保するが、さらに、履行されない場合に行政代執行を行うことができるようにしておくのであれば、その違反状態を是正することを命ずる行政処分の規定を設け、不作為義務を代替的作為義務…

枝条を含む連続する4以上の条の移動〜その2

2011年2月18日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(10)」で取り上げた省令で、次のように枝条を含む連続する4以上の条の移動を行っている部分がある。 雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成22年厚生労働省令第107号)(労働保険の保険料の…

条例事項・法律事項(下)

どのような事項を法律で定めるべきかについて、林修三『法令作成の常識』と大島稔彦『法令起案マニュアル』の2つの文献の記述を取り上げることにする。まず、kei-zuさんも取り上げていた、林修三・前掲書(P5〜)には、次のような記載がある。 法というものは…

条例事項・法律事項(上)

kei-zuさんが法学セミナーに執筆されている「法令エッセイ クロスセッション」は、これまで条例で規定する必要がない、あるいは規定すべきでないとされてきた事項を定める条例に関して考察されているものであると私は感じている。 条例で定めなければならな…

被災した皆様

心からお見舞い申し上げます。しばらく大変だと思いますが、頑張ってください。

内容は変えないのに題名を変える例(下)

「国際連合安全保障理事会決議1874号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査等に関する特別措置法」が、旧法案の「北朝鮮特定貨物の検査等に関する特別措置法」という題名にしなかった理由について、平成22年5月19日の衆議院国土交通委員会で、次のようなやり…

内容は変えないのに題名を変える例(上)

2010年6月4日に公布された「国際連合安全保障理事会決議1874号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査等に関する特別措置法」は、次のとおり複雑な立法過程を経た。 2009年7月、当時の自公政権下で政府が「北朝鮮特定貨物の検査等に関する特別措置法案」とし…

例規の立案で間違いやすい例(10)

雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成22年厚生労働省令第107号)(労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部改正)第2条 労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則(昭和47年労働省令第8号)の一部を次のように改正する。 (略…

一部改正で「第○章中」と明記することについて

2011年1月28日付け記事「例規の立案で間違いやすい例(9)」は、一部改正で「第○章中」と書くべきところを書いていない例を取り上げたが、今回は、「第○章中」と書くべきではないのに書いている例を取り上げる。 それは、ある自治体における次の例である。…

外国人等に住民投票条例に基づく投票権を付与することについて

22市町に外国人住民投票権 自治体の無警戒さ浮き彫りに市政の重要事項の是非を市民や定住外国人に直接問うと定めた「市民投票条例」の制定を目指す奈良県生駒(いこま)市のほかに、事実上の外国人地方参政権容認につながる条例を制定している自治体が少なく…

例規の立案で間違いやすい例(9)

自治紛争処理委員の審査の手続に関する省令の一部を改正する省令(平成22年総務省令第87号) (略) 第35条第1項中……に改め、同条を第44条とする。 (略) 第33条第1項中……に改め、同条を第42条とする。 第4章を第5章とする。 第32条第1号中……に改め、…

常用漢字でない漢字を2回以上用いる場合の振り仮名

現在、常用漢字表の改定が話題になることがあるが、例規において常用漢字でない漢字を用いる場合には、振り仮名(ルビ)を付けることとされている。 ルビを振るべき漢字を2回以上用いる場合に、2回目以降はルビを振らなければいけないかどうかについては、…

ある自治体の条例における認証の仕組み(下)

条例第3条には、次のような規定がある。 (適用範囲)第3条 この条例の規定は、認証記号を付そうとするふれあい安心名簿を作成し、及び利用する場合について適用し、認証記号を付さない名簿の作成及び利用については、適用しない。 この規定により、条例は市…

ある自治体の条例における認証の仕組み(中)

法律において認証を規定している例は、宗教法人法第2章の規定があるが、同章は、まず認証を受ける旨の規定(第12条)を置いている。一般的には、そのように認証の規定をまず書くようにした方が分かりやすいだろう。 それでは、当該条例についてそのような構…

謹賀新年

あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。