2013-01-01から1年間の記事一覧

いわゆる指定機関の指定の手続

「指定機関」という法令用語はないのだが、吉国一郎他『法令用語辞典(第9次改定版)』では、「指定…機関」という用語を取り上げ、次のように説明されている。 行政事務のうち、試験実施事務、証明事務、検定事務のような単純かつ定型的な事務については、…

例規の立案で間違いやすい例(19)

外国為替に関する省令の一部を改正する省令(平成24年財務省令第20号) (略)第12条の2中……に改め、第6号を第8号とし、第5号を第7号とし、同条に第5号及び第6号として、次の2号を加える。(5) (略)(6) (略) 「同条に第○号として次の○号を加える…

地方税法は組織法か

次の論述は、早稲田大学の大浜啓吉教授が神奈川県臨時特例企業税通知処分取消等請求事件訴訟で県側の意見書として提出されたものの一部である。 ……地方税法は法律ではあるが、もともと地方公共団体の事務処理に必要な財源を得るのが本来の目的であるから、地…

例規の立案で間違いやすい例(18)

住居手当の支給に関する規則の一部を改正する省令(平成24年外務省令第4号) (略)第5条第1項を次のように改め、同条第2項及び同条第3項を削る。第5条 在外職員が居住する住宅が家具付きである場合には、その家賃から家具相当額として、その家賃の百…

例規の立案で間違いやすい例(17)

国民健康保険の事務費負担金等の交付額等の算定に関する省令の一部を改正する省令(平成24年厚生労働省令第46号) (略)附則第2条の2(見出しを含む。)及び附則第2条の3(見出しを含む。)中「平成20年度及び平成21年度」とあるのは「平成23年度及び平…

税法の遡及適用〜最高裁判決

以前、平成16年の租税特別措置法の一部改正において、土地、建物の譲渡損失の他の所得との通算及び翌年以降への繰越しを年度当初に遡って認めないこととしたことについて、下級審では異なる判断がなされたことについて取り上げたが(2008年2月15日付け記事…

年齢の表記

以前、kei-zuさんが、年齢は「年齢のとなえ方に関する法律」により満年齢で表記することとされているため、法令においては「満○歳」とは表記しないということを記載されていた。 私はあまり意識したことがなかったのだが、見てみると確かに「満○歳」とはして…

例規の立案で間違いやすい例(16)

障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係省令の整備等及び経過措置に関する省令(平成24年厚生労働省令第40号) (略)(…

公表の際の秘密事項への配慮

公表をする事項について、その秘密を保護する必要があることがある。そのような場合、次の「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の例のように、その全てを公表するのではなく、概要を公表することとしている例がある。 (技術提案の改善)第13条 発注者…

制裁として用いる公表に関するメモ〜JAS法の例

平成21年法律第31号により「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」が改正され、次のとおり公表に関する規定が設けられている。 第19条の14の2 前条の規定により指示又は命令が行われるときは、これと併せてその旨の公表が行われ…

筋を通した施行期日の書き分け

一部改正例規の特定の改正規定の施行期日を異ならせる場合におけるその規定は、原則的な改正部分の施行期日を本文で規定し、施行期日を異ならせる改正部分を例外としてただし書で規定するのが一般的である(石毛正純『法制執務詳解 新版2』(P202)参照)。 …

一の法令内で異なる語句について同一の略称を用いる例

略称を用いる場合、それを特定の用語だけに限定することがあることからすると(法制執務研究会『ワークブック法制執務』)、一の法令内で異なる語句について同一の略称を用いることもありということになろう。 例えば、内閣府設置法では次のように、経済財政…

同じ題名の複数の例規を引用している例

法令中に他の法令を引用する場合は、「その引用する法令の題名を掲げ、その下(横書きであれば、その右)にその法令の法令番号を括弧書きするのが原則である」(法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』(P128))。 ところで、一部改正法令によくあるよう…

包括条項の表現

一般的にはバスケットクローズと言われる包括条項の表現として、「その他……」と規定する場合と「前各号に掲げる(定める)もののほか……」と規定する場合がある。 法令の規定例を見ると、厳密な使い分けはされていないようである。例えば、次の金融商品取引法…

規制を行う場合の規定例〜動物愛護法の例

平成24年法律第79号により「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正され、一定の飼養施設を設置して動物の取扱業を行おうとする者を第2種動物取扱業者として届出義務を課すこととされた。 該当する規定は、次の改正後の法第24条の2である。 (第二種動物…

条例立案に関する研修に関するメモ(3)〜執行法務

条例の立案という観点からすると、2013年1月26日付け記事「条例立案に関する研修に関するメモ(2)〜体系」で記した項目でメインになるのは、あくまでも「立法法務」である。したがって、その観点からすると、「執行法務」において留意することは、担当する事…

法律における届出等の義務違反に対する制裁等について(下)

最終回は、勧告等の行政指導を絡めた仕組みとなっている事例を取り上げる。 5 勧告→公表 規定例としては、次の「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」の例がある。 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善…

法律における届出等の義務違反に対する制裁等について(中)

今回は、届出等の違反があった場合における制裁とまでは言い難いが、それを防止するための措置の例を取り上げる。 3 認定取消し・支給停止 規定例としては、認定取消しの例として次の「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律…

法律における届出等の義務違反に対する制裁等について(上)

届出や報告は、一般的に行政調査のための一手法として用いられるが、その違反を防止するためにどのような制裁等を科すこととしているか、ここに記しておくことにする。 今回取り上げるのは、制裁としては一般的な手法である刑罰と過料である。 1 刑罰 規定…

下位例規への委任規定〜最高裁平成25年1月11日判決

既にブログ等で取り上げられた方もおられるが、第1類医薬品及び第2類医薬品のインターネットを通じた販売を禁止する省令の規定を法の委任の範囲を超えたものとして違法とした最高裁判決を取り上げる。

条例立案に関する研修に関するメモ(2)〜体系

1 自治体法務の体系 自治体法務は、一般的に「立法法務(Plan)」「執行法務(Do)」「評価・争訟法務(See)」に区分して論じられることが多い。そして、その順序は「Plan→Do→See」とするものと、「Do→See→Plan」の順番とするものがあるが、前者が多いようである…

条例立案に関する研修に関するメモ(1)〜前提

最近、職員に対する条例立案に関する研修のあり方について考える機会があった。 現在は、政策法務研修とするのが一般的なのかもしれないが、政策法務と言うと、文献も含めどちらかというと法務担当向けになっており、一般の職員にはハードルが高いように感じ…

電子メールでの文書の受領

電子メールでの文書のやり取りが一般的になっているが、法令に根拠のある文書について、電子メールでの受領を要求される例もあるようである。この要求は、認めるべきだろうか。結論は、一般的には認めるべきではないことになる。 法令は、一般的には書面で行…

条例立案の難しさ

『法学セミナー』に連載されていた「法令エッセイ クロスセッション 国法・自治体法の現場から」の最終回で、吉田利宏氏は、国法と条例の違いを次のように述べている。 実行性確保の問題は、もちろん国法にもありますし、国でも問題事例を集めます。ただ、国…

謹賀新年

あけましておめでとうございます。 昨年から、物事を考える時間もあまり取れなくなってきています。 このブログもメモ程度の内容が多くなるかと思いますが、今までどおり続けていくつもりですので、よろしくお願いします。