一般

条例目的と立法事実

弁護士会は、児童ポルノの規制について条例の必要性を裏付ける立法事実について、(1)刑罰による児童ポルノの規制は法律によるべきで、条例による刑罰規制は地域的特性に応じた必要性がある場合に行われるべき、(2)しかし規制対象行為が他の地域ではなく特に…

いわゆる指定機関の指定の手続

「指定機関」という法令用語はないのだが、吉国一郎他『法令用語辞典(第9次改定版)』では、「指定…機関」という用語を取り上げ、次のように説明されている。 行政事務のうち、試験実施事務、証明事務、検定事務のような単純かつ定型的な事務については、…

公表の際の秘密事項への配慮

公表をする事項について、その秘密を保護する必要があることがある。そのような場合、次の「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の例のように、その全てを公表するのではなく、概要を公表することとしている例がある。 (技術提案の改善)第13条 発注者…

制裁として用いる公表に関するメモ〜JAS法の例

平成21年法律第31号により「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」が改正され、次のとおり公表に関する規定が設けられている。 第19条の14の2 前条の規定により指示又は命令が行われるときは、これと併せてその旨の公表が行われ…

条例立案に関する研修に関するメモ(3)〜執行法務

条例の立案という観点からすると、2013年1月26日付け記事「条例立案に関する研修に関するメモ(2)〜体系」で記した項目でメインになるのは、あくまでも「立法法務」である。したがって、その観点からすると、「執行法務」において留意することは、担当する事…

下位例規への委任規定〜最高裁平成25年1月11日判決

既にブログ等で取り上げられた方もおられるが、第1類医薬品及び第2類医薬品のインターネットを通じた販売を禁止する省令の規定を法の委任の範囲を超えたものとして違法とした最高裁判決を取り上げる。

条例立案に関する研修に関するメモ(2)〜体系

1 自治体法務の体系 自治体法務は、一般的に「立法法務(Plan)」「執行法務(Do)」「評価・争訟法務(See)」に区分して論じられることが多い。そして、その順序は「Plan→Do→See」とするものと、「Do→See→Plan」の順番とするものがあるが、前者が多いようである…

条例立案に関する研修に関するメモ(1)〜前提

最近、職員に対する条例立案に関する研修のあり方について考える機会があった。 現在は、政策法務研修とするのが一般的なのかもしれないが、政策法務と言うと、文献も含めどちらかというと法務担当向けになっており、一般の職員にはハードルが高いように感じ…

義務付け・枠付けの見直しに関する条例における規則への委任

今次の地方分権に係る一括法において行われた義務付け・枠付けの見直しに関して、条例に委任された事項をさらに規則へ委任することについて、国の立案を担当した職員の次のような見解がある。 条例で基準を定めるに当たって、規則への委任範囲についても、各…

会議と本部の違いに関するメモ

「会議」や「本部」の名称で機関が置かれることがある。その異同は明確ではないが、川崎政司「基本法再考(2)」『自治研究(第81巻)』に次のような記載があるので、ここにメモをしておく。 会議・本部とも、政策調整などを主たる目的に関係行政機関の長によ…

法律事項を政令事項とした例

条例が規則等に委任することができる事項は、一般的に法律が政令等の命令に委任することができる事項と同様に、技術的・専門的な事項や機動的・弾力的に対処しなければならない事項などとされている(大島稔彦『法令起案マニュアル』(P41)参照)。 しかし、…

義務付け・枠付けの存置を許容する場合のメルクマール

今次の地方分権に係る一括法において行われた法令による義務付け・枠付けの緩和については、平成20年5月28日に出された地方分権改革推進委員会の第1次勧告において、次の7項目をその存置を許容する場合のメルクマールとしてその後の作業を進める旨が記載…

条例による法令の上書き(下)

第2期地方分権改革における地方分権改革推進委員会は、事務の処理又はその方法の法令による義務付けについて条例による補正(補充・調整・差し替え)を許容することを地方自治体による法令の『上書き』を確保しようとするものと位置付け、「参酌すべき基準…

条例による法令の上書き(中)

国会における東日本大震災復興特別区域法案の審議において、条例による法令の上書きに関する内閣法制局の見解が表れている部分を次に引用する。 <第179回国会衆議院東日本大震災復興特別委員会(平成23年11月24日)>○秋葉委員 ……さて、法案の中にもう少し…

条例による法令の上書き(上)

東日本大震災復興特別区域法案に関する国会の審議で、条例による法令の上書きに関して議論がなされているが、河北新報の2012年5月29日付け社説には、次のように記載されている。

最低賃金法と公契約条例の関係に関するメモ

平成21年2月に参議院において、自治体が制定する公契約条例と最低賃金法の関係について質問主意書が提出されている。私がこれを知っているのは、おそらくネットでどなたかが取り上げていたからだと思うが、ここにメモとして残しておくことにする。 最低賃金…

基本法の運用上の留意事項を規定する法律

平成23年6月24日に公布された「津波対策の推進に関する法律」(以下「津波対策法」という。)は、東日本大震災が津波により多数の人命を奪ったことから、この惨禍を2度と繰り返すことのないよう、津波対策に万全を期するため制定された法律である。 津波対…

水源地域保全条例案

外資の大規模森林買収に対抗 埼玉県が2月議会に水源保全条例案提出へ中国企業などが日本の水源地を大規模に買収しようとする動きが活発化していることから、埼玉県は土地取引の際に所有者に事前届け出を義務づける水源地域保全条例案を県議会2月定例会に提…

基準を定めている法令をそのまま引用することについて

少し前になるが、半鐘さんが、今回の分権改革に伴って、条例で定める必要がある施設・公物設置管理の基準に関し、法令の規定を引用して書くことについて記載されていた。 このことについて、川崎政司『「地域主権改革」関連法』(P143)には、次のように記載さ…

公の施設設置条例の利用料金に関する規定から

ある市では、野球場、運動場、テニスコート、マレットゴルフ場、体育館、プール等の各種の体育施設を一本の条例で設置し、指定管理者制度及び利用料金制をとっている。そして、その利用料金に関する規定は、次のようになっている。 (利用料金)第8条 体育施…

規則の内容を議会で審議することについて

かつて条例案の審議において、議会側がその委任事項に関する規則案を出さなければ審議に応じないと主張したことがあった。 規則委任事項は、委任された範囲で首長が定めるものであり、その案文をあらかじめ出せというのは、少しずれた議論だと思っていた。 …

自治基本条例における住民の権利に関する規定

松下啓一先生が流山市の寺沢弘樹氏、住民参加・協働支援コンサルタントの今井邦人氏とともに、『自治体法務研究』に連載されている「市民協働立法のつくり方・実践編」は、この8月に発行されたNo.26で最終回を迎えたが、この回が例規に携わる者にとって一番…

基本構想の策定等を議会の議決事項とすることについて(下)

今回は、基本構想の策定等を議会の議決事項とする条例案について、首長提案とすべきか、議員提案とすべきかといった条例案の提出権の問題、それから、条例に基本構想の策定を義務付ける規定を設けるべきかどうかといった条例の内容の問題という2点について…

基本構想の策定等を議会の議決事項とすることについて(上)

少し前になるが、洋々亭さんのサイトで、平成23年法律第35号による地方自治法の改正で、同法から市町村の基本構想に関する規定が削除されたため、従来どおり議会の議決を経て策定するためには、同法第96条第2項の規定に基づく条例の制定が必要になるが、そ…

条例で要綱を遵守することを定めることについて

かつて、条例で既存の要綱を住民に遵守させることを定めることがいいかどうか聞かれたことがあった。その動機がどのようなものであったのかは覚えていないが、既存の要綱をそのまま使えるものなら使ったほうが楽だからといった程度のことだったのかもしれな…

議員提出条例案の審査体制

前回(2011年6月24日付け記事「『つくろう議員提案の政策条例』」)取り上げさせていただいたのだが、松下啓一先生の著書「つくろう議員提案の政策条例」(P71〜)には、次のような記述がある。 議員をサポートする議会事務局職員については、より専門的な知…

行政代執行を行うための立法技術に関するメモ

1 見解 条例で禁止規定を定めた場合は、通常罰則等によりその履行を担保するが、さらに、履行されない場合に行政代執行を行うことができるようにしておくのであれば、その違反状態を是正することを命ずる行政処分の規定を設け、不作為義務を代替的作為義務…

条例事項・法律事項(下)

どのような事項を法律で定めるべきかについて、林修三『法令作成の常識』と大島稔彦『法令起案マニュアル』の2つの文献の記述を取り上げることにする。まず、kei-zuさんも取り上げていた、林修三・前掲書(P5〜)には、次のような記載がある。 法というものは…

条例事項・法律事項(上)

kei-zuさんが法学セミナーに執筆されている「法令エッセイ クロスセッション」は、これまで条例で規定する必要がない、あるいは規定すべきでないとされてきた事項を定める条例に関して考察されているものであると私は感じている。 条例で定めなければならな…

ある自治体の条例における認証の仕組み(下)

条例第3条には、次のような規定がある。 (適用範囲)第3条 この条例の規定は、認証記号を付そうとするふれあい安心名簿を作成し、及び利用する場合について適用し、認証記号を付さない名簿の作成及び利用については、適用しない。 この規定により、条例は市…