一般

ある自治体の条例における認証の仕組み(中)

法律において認証を規定している例は、宗教法人法第2章の規定があるが、同章は、まず認証を受ける旨の規定(第12条)を置いている。一般的には、そのように認証の規定をまず書くようにした方が分かりやすいだろう。 それでは、当該条例についてそのような構…

ある自治体の条例における認証の仕組み(上)

今回から3回にわたって、「自治体法務研究」で紹介されていた某市の「ふれあい安心名簿条例」(以下次回も含めて単に「条例」というときは、この条例を指すものとする。)を取り上げる。 この条例は、個人情報に過剰に反応するあまり、学校その他の地域団体…

条例事項を規則事項とすることについて

法律事項であっても、技術的・専門的事項や経済事情の変動に応じて機動的・弾力的に対処しなければならない事項、地域的特性を十分に加味する必要がある事項などは、法律上適当なしぼりを加えて上で、命令に委任することは一般に認められている(田島信威『最…

法案の立案姿勢における日英の比較

法案の立案姿勢について、我が国とイギリスでは次のような違いがあるとのことである。 ……より具体的な条文起草に当たっての心構えについても、日英間に相違があるようである。日本では、条文の立案に当たっては、法的安定性や法体系の整合性を重視するという…

いわゆる「議員歳費返納法」について

マスコミで「議員歳費返納法」とか「議員歳費自主返納法」とか言われている「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律」が、この6日に成立し、11日に公布された。 この法律は、附則に次の1項を加えることを内容とする法律である。…

文書管理規則は各執行機関が定めなければならないか

今回も、宇賀克也教授が「公文書管理法の制定を受けた地方公共団体の対応」『ジュリスト(No.1393)』で記載されていることを取り上げる。 文書管理に関する事項は、2007年11月2日付け記事「例規の形式(7)〜規則の内容(その6)」及び2007年6月30日付け…

下位例規への委任規定〜〜最高裁平成18年1月13日判決

法律の下位例規の定めを法律の委任の範囲を超えるとして無効とした最高裁の判例としては、前回(2010年4月3日付け記事「下位例規への委任規定〜最高裁平成21年11月18日判決」)取り上げた判例のほか、(1)農地法施行令第16条に関する最高裁昭和46年1月20日…

下位例規への委任規定〜最高裁平成21年11月18日判決

政令の定めが法律の委任の範囲を超えるものとして無効とされた「東洋町議リコール署名最高裁平成21年11月18日大法廷判決」は、判決が出された当時、既にブログ等で取り上げられた方もおられ、『ジュリスト(No.1396)』でも特集がされているが、法令等の委任例…

制裁として用いる公表に関するメモ〜育児休業法の例

最近、育児休業法が改正され、制裁として用いる公表制度が取り入れられているので、記載しておく(以前記載した記事については、末尾を参照)。

地球温暖化対策における自治体の役割

地球温暖化対策に関し、自治体においても条例を制定する例があるが、かねてから私は、地球温暖化対策は地域における事務(地方自治法第2条第2項参照)とはいえず、自治体が条例を定めて取り組むような事項ではないのではないかと感じていた。ただ、「地球…

例規集の改廃に伴う例規の整理とは

少し前のことだが、次のような例規を見かけた。 ○○市例規集の改版に伴う条例の整理に関する条例(目的)第1条 この条例は、○○市例規集の改版に伴い、現に効力を有する本市の条例(以下「条例」という。)について、当該条例の内容及び効力等に変更を生じな…

「例規」と「法規」

このブログでは、条例等の審査を表す言葉として「例規審査」という言葉を使っている。「法規審査」と呼ぶのが一般的かもしれないが、あえてその言葉を使わなかったのは、単に「法」という言葉を使うのが嫌だったからである。 この「例規」と「法規」について…

2008年5月24日付けの記事「法令で委任された事項を定める例規〜次世代育成支援対策推進法施行令第2項」に関する追記(その3)

次の記事の続編になります。 2008年5月24日付け記事「法令で委任された事項を定める例規〜次世代育成支援対策推進法施行令第2項」 2008年6月6日付け記事「2008年5月24日付けの記事『法令で委任された事項を定める例規〜次世代育成支援対策推進法施行令…

2008年5月24日付けの記事「法令で委任された事項を定める例規〜次世代育成支援対策推進法施行令第2項」に関する追記(その2)

2008年5月24日付けの記事と同年6月6日付けの記事に関する追記です。 同日付けの記事は、安房さんからいただいたコメントを受けて記載したものでしたが、再び、次のようなコメントをいただきました。 私の疑問は、「次の表の左欄に掲げる特定事業主とし」…

2008年5月24日付けの記事「法令で委任された事項を定める例規〜次世代育成支援対策推進法施行令第2項」に関する追記

2008年5月24日付けの記事について、安房さんから次のようなコメントをいただきました。 『「次の表の左欄に掲げる特定事業主とし」のところですが、略称「特定事業主」を使うのはまずいような気がするのですが…。「次の表の左欄に掲げる『次世代育成支援対…

法令で委任された事項を定める例規〜次世代育成支援対策推進法施行令第2項

今回も、法令で委任された事項を定める例規の立案について取り上げる。 事例は、次世代育成支援対策推進法施行令第2項の規定に基づく規則である。 法及び政令の関係規定は、次のとおりである。 次世代育成支援対策推進法第19条 国及び地方公共団体の機関、…

未公布の法律の引用の可否

条例において未公布の法律を引用し、当該法律の法律番号を空白としたまま公布した後に、当該法律が成立し、公布された場合に、その法律番号をどのように補完するかについて、洋々亭さんのサイト(http://www.hi-ho.ne.jp/tomita/yybbs/)で議論されているが…

法令で委任された事項を定める例規〜消防法第9条の2第2項(6)

ある自治体の条例の例(「法令で委任された事項を定める例規〜消防法第9条の2第2項(1)」参照)についてこれまで記載してきたことを踏まえ、その修正の例を次に記載する。 ○○市火災予防条例第3章の2 (略)(住宅用防災機器の設置及び維持に関する基…

法令で委任された事項を定める例規〜消防法第9条の2第2項(5)

(「ある自治体の条例について考える」の続き) 5 条例第29条の5(政令第5条の7第1項第3号及び省令第6条に対応) (設置の免除)第29条の5 前3条の規定にかかわらず、次の各号に掲げるときは、次の各号に定める設備の有効範囲内の住宅の部分につい…

法令で委任された事項を定める例規〜消防法第9条の2第2項(4)

(「ある自治体の条例について考える」の続き) 4 条例第29条の4について (住宅用防災報知設備の設置及び維持に関する基準)第29条の4 住宅用防災報知設備の感知器(火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17…

法令で委任された事項を定める例規〜消防法第9条の2第2項(3)

(「ある自治体の条例について考える」の続き) 2 条例第29条の2(政令第5条の6に対応) (住宅用防災機器)第29条の2 住宅……の関係者(住宅の所有者、管理者又は占有者をいう。)は、次条及び第29条の4に定める基準にしたがつて、次の各号のいずれかの…

法令で委任された事項を定める例規〜消防法第9条の2第2項(2)

○ ある自治体の条例について考える この一連の記事で、特に明示しない場合、法令の名称を次のように省略して用いることかがある。 「法」 消防法 「改正法」 消防法及び石油コンビナート等災害防止法の一部を改正する法律(平成16年法律第65号) 「政令」 消…

法令で委任された事項を定める例規〜消防法第9条の2第2項(1)

法律等で委任された事項を定める例規を立案する必要がある場合は頻繁にあるが、その手法を解説した文献は少ない*1。そして、自治体の例規の場合、政省令で定める基準等に従って立案する場合もあり、複雑になる場合がある。 そこで、消防法及び石油コンビナー…

公共施設への広告掲出に関する料金

大分前になるがkei-zuさん(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20080130)が紹介されていた、横浜市広告事業推進担当『財源は自ら稼ぐ!』を読んでみたが、私は、同書68頁において公共施設への広告掲出について次のように法的な整理をしている部分に一番興味を引…

都道府県条例に市町村の責務を規定することについて

今回は、多少脱線してtihoujitiさん(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20080228)とjoho_triangleさん(http://d.hatena.ne.jp/joho_triangle/20080228)が取り上げていた、福井県地産地消の推進に関する条例で市町村の責務的な規定を入れていることについ…

私的諮問機関(下)

私的諮問機関に関する要綱を立案する場合に、附属機関に関する設置条例で規定する事項のどの部分を変える必要があるかについて、具体例を挙げて記載してみたい。 次に掲げる条例は、ある自治体における附属機関の設置条例である*1。 ○○市大規模小売店舗立地…

私的諮問機関(上)

要綱等で設置するいわゆる私的諮問機関については、「自治体の組織(9)〜附属機関(その2)」において附属機関との違いについて触れ、それは端的に言うと組織であるかないかということだと記載した。 今回は、実際に私的諮問機関に関する要綱の作成で留意…

制裁として用いる公表に関するメモ(10)

法律における公表制度については、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業の事業活動の調整に関する法律(「制裁として用いる公表に関するメモ(3)」参照)等では、国会において政府原案では実効性が挙がらないとして、罰則の追加等の制裁を強化す…

制裁として用いる公表に関するメモ(9)

8 緊急時に国民への情報提供と併せて公表を行うこととしているもの ○ アルコール事業法に基づく公表制度 <根拠規定> (緊急時の措置)第41条 経済産業大臣は、緊急時(アルコールの供給が大幅に不足し、又は不足するおそれがある場合において、アルコール…

制裁として用いる公表に関するメモ(8)

6 対象者があらかじめ行うことが期待できない事項に関して勧告・公表を行うこととしているもの ○ 特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律に基づく公表制度 <根拠規定> (緊急時の措置)第9条 国家公安委員会は、特定の建物錠の特性を利用した特殊開錠を…